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自己破産すると家族に影響はある?原則と例外的なケースを解説

自己破産は裁判所を通じて一定の借金の支払い義務を免除してもらう強力な手続きですが、申し立てを躊躇する最大の理由として、家族への影響を心配される方が多いです。

今回は、自己破産が家族に与える影響の範囲と、例外的に家族へ負担がかかる具体的なケースについて解説します。

原則自己破産をしても家族に影響はない

結論から申し上げますと、自己破産をしても、家族が法的な責任を負わされたり、家族の財産が没収されたりすることは原則としてありません。

日本の法律には個人責任の原則があり、親の借金は親のもの、子の借金は子のものとして、人格ごとに厳格に区別されているためです。

まず、家族の所有している財産についてですが、配偶者が独自に貯めた預貯金や、子ども名義の学資保険、実家の親の不動産などが差し押さえの対象になることはありません。

破産手続きで処分の対象となるのは、あくまで破産者本人の名義となっている財産に限られます。

また、家族の信用情報、いわゆるブラックリストへの影響もありません。

自己破産をした事実は、破産者本人の信用情報機関にのみ異動情報として記録されます。

そのため、夫が自己破産をしたとしても、妻が自分自身の名義でクレジットカードを新しく作ったり、ローンを組んだりすることに支障は生じないのが通例です。

さらに、家族の就職や結婚、あるいは子どもの進学といった将来のライフイベントにおいて、自己破産の事実が法的に不利に働くこともありません。

官報という公的な広報紙に名前が掲載されますが、一般の企業や学校が日常的に官報をチェックして身辺調査を行うことはきわめて稀です。

自己破産が家族に影響があるケース

原則として影響はないものの、実務上、特定の状況下では家族に直接的、あるいは間接的な負担が生じる場合があります。

家族が連帯保証人や保証人であったとき

もっとも直接的かつ深刻な影響が出るのが、家族が借金の保証人や連帯保証人になっている場合です。

自己破産を申し立てて免責が確定すれば、破産者本人の支払い義務は消滅します。

しかし、保証人の支払い義務は消滅しません。

債権者は、本人からの回収が不可能になった時点で、保証人に対して残債務の全額を一括で支払うよう請求を行います。

たとえば、夫の住宅ローンの連帯保証人に妻がなっていた場合、夫が破産すると、銀行は妻に対して数千万円単位の支払いを求めてきます。

妻にそれだけの支払い能力がなければ、妻も同時に自己破産や個人再生といった債務整理を検討せざるを得ない段階に至ります。

家族が保証人になっている債務がある場合、自分1人が破産すれば解決するというわけにはいきません。

事前に家族へ状況を打ち明け、共に解決策を模索する過程が欠かせない作業となります。

持ち家を家族と共有名義にしていたとき

自宅不動産を夫婦などで共有名義にしている場合、自己破産の手続きは非常に複雑になります。

自己破産をすると、20万円を超える価値のある財産は、裁判所から選任された破産管財人によって現金化され、債権者に配当されます。

共有名義の家の場合、破産者の持分、たとえば2分の1の所有権も処分の対象となります。

破産管財人は、その持分を他の共有者である家族に買い取るよう打診することが一般的です。

もし家族に買い取るための資金がなければ、不動産全体を競売にかけたり、第三者に売却したりして、その代金を分割する手続きが進められます。

結果として、家族は住み慣れた家を離れなければならなくなるという、大きな生活環境の変化を強いられることになります。

生活費を破産者が支払っていたとき

家計の主力が自己破産を選択する場合、日常生活の利便性において間接的な影響が生じます。

まず、破産者名義のクレジットカードがすべて強制解約となり、その後5年から10年程度は新しいカードの発行ができなくなります。

公共料金や通信費の支払いを破産者のカードで行っていた場合、支払い方法の変更を迅速に行う段階が必要となります。

また、破産者名義の車が処分されることも、家族の移動手段を奪う要因となります。

さらに、破産手続きの過程では、家計全体の収支を証明するために、同居している家族の給与明細や通帳の写しの提出を裁判所から求められることがあります。

これは、破産者が財産を隠していないか、あるいは家族への不自然な送金がないかを確認するために必要な一連の流れです。

家族に内緒で進めたいと考えていても、家計簿の作成や資料の準備において、家族の協力が得られないことが手続きの停滞を招く原因となります。

まとめ

今回は、自己破産が家族に及ぼす影響の原則と、負担が生じる例外的なケースについて解説しました。

自己破産は、個人の権利として認められた再起のための制度であり、家族の法的地位を損なうものではありません。

しかし、保証人関係や共有財産、そして日々の家計運営という実務的な側面では、家族の理解と協力が必要となる場面が多く存在します。

家族の影響が心配な方は弁護士に相談することを検討してください。

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弁護士黒川 慶彦

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  • 経歴
    昭和55年
    埼玉県所沢市生まれ
    平成15年
    中央大学法学部法律学科卒業
    平成17年
    司法試験合格
    平成20年
    法律事務所勤務
    一般民事から企業法務、知的財産訴訟等幅広い分野の案件に携わる。
    平成23年
    都内医療機器輸入商社にて勤務
    法務部門(国内外契約業務、労務紛争等)
    物流部門、マーケティング部門の責任者を歴任。
    平成30年
    真英法律事務所設立
    菊名支店代表
    令和4年7月
    新横浜の現事務所に移転し、『黒川慶彦法律事務所』に改称
  • 所属

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