遺言書で1人に相続させる場合に注意すべきポイントとは
全財産を長男に相続させたい、事業を継ぐ次女にすべて任せたいなど、特定の1人に遺産を集中させたいと考える方は少なくありません。
このような遺言書も原則として有効ですが、遺留分や形式要件など押さえておくべき法的ポイントがあります。
ここでは、遺言書で1人に相続させる場合に注意すべきポイントについて順に紹介します。
遺留分に関する注意点
遺言書で1人に全財産を相続させると記載しても、他の相続人には法律で最低限の取り分が保障されています。
これを遺留分といい、遺言の内容が遺留分を侵害していると、後にトラブルへ発展する可能性があります。
遺留分が認められる相続人と割合
遺留分は、被相続人の配偶者・子・直系尊属(父母など)に認められた権利です。
代表的な遺留分の割合は次のとおりです。
- 配偶者と子が相続人の場合:それぞれの法定相続分の2分の1
- 直系尊属のみが相続人の場合:法定相続分の3分の1
- 兄弟姉妹:遺留分なし
例えば、子が2人いる家庭で全財産を長男に相続させるとした場合、次男は遺産全体の4分の1にあたる遺留分を請求できる立場となります。
遺留分侵害額請求の備え
現在の民法では、遺留分の請求は遺留分に相当する金銭の支払いを求めるものとなっています。
相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年、または相続開始から10年で時効により消滅します。
請求された側は金銭で支払う必要があるため、相続させたい1人に十分な現金が渡るよう、生命保険の活用や預貯金とのバランス調整を検討しておくとよいでしょう。
遺言書の作成方法に関する注意点
遺言書は民法で定められた方式に従って作成しなければ、内容にかかわらず無効になるおそれがあります。
1人に相続を集中させる遺言は他の相続人から争われやすいため、形式面の備えがいっそう重要です。
自筆証書遺言の形式要件
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印することが要件となります(民法968条)。
日付が令和○年○月吉日のように特定できない記載だと、無効と判断された例もあります。
財産目録についてはパソコンでの作成も認められていますが、各ページに署名・押印が必要です。
公正証書遺言の活用
1人に相続させる内容の場合、無効リスクや偽造の疑いを避けるため、公正証書遺言の利用が有力な選択肢となります。
公証人が関与するため形式不備の心配が少なく、原本が公証役場で保管されるため改ざんのおそれもありません。
作成時には付言事項として、なぜ1人に相続させるのか、その思いを書き添えておくと、他の相続人の感情的な反発を和らげる効果も期待できます。
まとめ
遺言書で1人に相続させる場合、原則として有効ではあるものの、遺留分への配慮と形式要件の遵守が欠かせません。
遺留分侵害額請求への備えや公正証書遺言の活用など、事前の対策がトラブル防止につながります。
1人に相続させる遺言書の作成でお困りの際は、黒川慶彦法律事務所までお気軽にご相談ください。
黒川慶彦法律事務所が提供する基礎知識Basic Knowledge
-
遺留分侵害請求の消滅...
遺留分侵害額請求とは、遺贈や遺言などによって自身の相続分を侵害された相続人が、他の相続人に対して法定相続分に該当する財産や金銭を請求する制度です。 本記事では、遺留分侵害額請求と消滅時効について詳しく解説をして […]

-
法人破産にかかる期間...
法人破産を終結するまでに数年かかるケースもあるため、事前に流れを把握したうえで、計画的に進める必要があります。この記事では、法人破産にかかる期間とおおまかなスケジュールを解説します。法人破産とは法人破産とは、支払不能もし […]

-
職場におけるハラスメ...
ハラスメントには、パワハラ、セクハラなど様々なものがあります。事業主には、セクシュアルハラスメントの防止措置が以前から義務付けられていましたが、新しく、妊娠・出産・育児休暇等に関するハラスメント、パワーハラスメントについ […]

-
予防法務とは
予防法務とは、将来法的紛争が起きることを事前に想定し、トラブルを未然に防ぐための対策をしておくことをいいます。 たとえば、労務分野においては、以下のような対策が重要です。 ・雇用契約書や就業規則、賃金制度の整備 […]

-
建築トラブル
マイホームを建てる、アパートやマンションを建てるといった場合にも様々なトラブルが生じる可能性があります。建築トラブルは欠陥工事や周辺環境の問題などが代表的です。ローンを組んで建てる場合も多く、精神的にも早急に適切な解決を […]

-
兄弟の遺産の相続放棄...
兄弟姉妹が死亡した場合において、兄弟姉妹に配偶者がある場合には配偶者と併せて、配偶者がない場合には単独で、自分が相続人になる場合があります(民法882条、889条2号)。 ①被相続人に子がいない場合、子がいたと […]

よく検索されるキーワードSearch Keyword
弁護士紹介Lawyer
弁護士黒川 慶彦
私たちが提供したいものは、リーガルサービスの一歩先にある「安心」という価値です。
法的観点からの助言に止まらず、プラクティカルな解決策を提示することによって、クライエント様が次の一歩を踏み出すために必要な「安心」をお届けします。
-
- 経歴
-
- 昭和55年
- 埼玉県所沢市生まれ
- 平成15年
- 中央大学法学部法律学科卒業
- 平成17年
- 司法試験合格
- 平成20年
- 法律事務所勤務
一般民事から企業法務、知的財産訴訟等幅広い分野の案件に携わる。
- 平成23年
- 都内医療機器輸入商社にて勤務
法務部門(国内外契約業務、労務紛争等)
物流部門、マーケティング部門の責任者を歴任。
- 平成30年
- 真英法律事務所設立
菊名支店代表
- 令和4年7月
- 新横浜の現事務所に移転し、『黒川慶彦法律事務所』に改称
-
- 所属
-
神奈川県弁護士会
神奈川法人会
新横浜ロータリークラブ
事務所概要Office
| 名称 | 黒川慶彦法律事務所 |
|---|---|
| 所在地 | 〒222-0033 神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目20-5 スリーワンビル601号室 |
| 連絡先 | TEL.045-628-9570/FAX.045-628-9590 |
| 営業時間 | 平日 9:30~18:00(事前予約で時間外も対応可能) |
| 定休日 | 土・日・祝日(事前予約で休日も対応可能) |
| 相談料 | 初回相談/30分無料 初回電話相談/10分無料 |