債権回収の時効期間は何年?時効を中断することはできる?
消滅時効の期間が完成すると、債権に基づく請求はできなくなります。
そこで、何年で消滅時効が完成するか、時効を中断することができるのか把握しておくことは重要です。
このページでは、時効期間・時効中断の可否・方法についてご説明します。
◆債権の消滅時効期間
債権は、「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」(民法166条1項1号)、「権利を行使することができる時から10年」(同条2号)で時効期間が完成すると規定されています。
消滅時効の期間を経過すると、直ちに権利が消滅するわけではありません。
消滅時効によって利益を受ける者からの援用(145条括弧書)によって、その者との関係で相対的に消滅します。
◆時効の中断の可否
結論から述べると、民法では時効の中断はできると規定されています。もっとも、ここでいう中断は用語としては不適切です。
すなわち、債権法改正によって、時効の「完成猶予」・時効期間の「更新」という2つに整理されました。
「完成猶予」とは、一定期間が経過するまで時効期間が完成しないこととすることをいいます。
「更新」とは、それまで進行してきた時効期間をなかったことにすることをいいます。
なお、一時的な時効の完成猶予の後に完全な時効期間の更新が起こることが多いです。
以下、これらの効果を発生させる民法上の手段をご説明します。
・裁判上の請求等(147条)
裁判上の請求・支払督促・和解・調停・破産手続参加・再生手続参加・更生手続参加といった手続がとられた場合、それらの事由が終了するまで、時効期間の完成が猶予されます。
そして、確定判決等によって、権利の存在が確定された場合には、時効期間が更新されます。
これに対して、権利を確定させることなく上記完成猶予事由が消滅した場合、消滅の時から6か月間の間、時効の完成が猶予されます。
・強制執行等(148条)
強制執行・担保権の実行・形式的競売・財産開示手続などの手続がとられている間は、その事由が消滅するまで時効期間の完成が猶予されます。
そして、上記時効完成猶予事由が消滅した際に、時効期間が更新されます。一方、申立の取下げ・法律の規定に従わないことによる取消しの場合、時効期間は更新されず、その事由の消滅の時から6か月間の完成猶予の効果が発生するにとどまります。
・仮差押え等(149条)
仮差押え・仮処分等の民事保全手続きがなされると、手続終了から6か月間は時効の完成が猶予されます。
・催告(150条)
催告の時から、6か月間は時効の完成が猶予されます。
注意しなければならないのは、催告による時効の完成が猶予中の再度の催告によっては、時効の完成が再び猶予されることはないということです(150条2項)。
意思の通知の方法に限定はなく、口頭でも構いません。しかし、訴訟に備え、証拠を残すという観点からは、内容証明郵便を用いるのが一般的です。公的手続きを不要とする点で、よく使われる手段といえます。
・協議を行う旨の合意(151条)
争いのある当事者間で、権利についての協議を行う旨の合意を書面で行った場合、その合意の時から1年間・合意で1年より短い期間を定めた場合にはその期間・もしくは、一方が相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の書面による通知をしてから6か月の間、時効期間の完成が猶予されます。
上記完成猶予の期間は、もともと(合意がなければ)時効が完成すべきであった時から5年を超えない範囲で延長することができます。
なお、催告による完成猶予中の合意、合意による完成猶予中の催告は、いずれも完成猶予の効果を発生させません。
・承認〔152条〕
債務の承認があると、時効期間は更新されます。履行の意志ありと判断されるためです。
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弁護士 黒川慶彦
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- 経歴
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- 昭和55年
- 埼玉県所沢市生まれ
- 平成15年
- 中央大学法学部法律学科卒業
- 平成17年
- 司法試験合格
- 平成20年
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法律事務所勤務
一般民事から企業法務、知的財産訴訟等幅広い分野の案件に携わる。
- 平成23年
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都内医療機器輸入商社にて勤務
法務部門(国内外契約業務、労務紛争等)
物流部門、マーケティング部門の責任者を歴任。
- 平成30年
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真英法律事務所設立
菊名支店代表
- 令和4年7月
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