懲戒処分を行う際の注意点
■問題行動を起こす従業員がいたら
従業員の中には、問題行動を起こす者もしばしば見受けられます。そのような場合に、会社側としてどのような対応をすれば良いのでしょうか。
従業員の問題行動は、職場の雰囲気に悪影響を及ぼす可能性もあります。その従業員の行動によって、会社の信用にも影響が出てしまうかもしれません。このようなことが起きる前に、従業員に対しては適切なタイミングで適切な対応をするべきです。懲戒処分は、きちんとその内容や程度を見極めて行うことで、問題行動を起こす従業員に対して、効果的なものになるといえるでしょう。
●懲戒処分とは
懲戒処分には、いくつか種類があり、処分の重さの程度がそれぞれ異なります。最も軽い処分から順に、戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇といった処分があります。
戒告処分では、口頭での注意をします。けん責処分では、従業員に始末書を提出させます。減給処分では、従業員の賃金を減額します。減額の度合いは、上限が法定されています。出勤停止処分は、一定期間の出勤を禁止することで、その間の賃金を支払わないというものです。降格処分は、従業員の役職を下位のものに下げるものです。諭旨解雇処分では、従業員に退職を勧告します。懲戒解雇処分は、会社側が従業員のことを強制的に退職させるものです。諭旨解雇処分を行い、それでも従業員が退職届を提出しない場合に、懲戒解雇がなされることもあります。
●懲戒処分を行うまでの流れ
すでに確認した通り、懲戒処分には、その程度によって様々な種類があります。懲戒処分を行うとして、どの処分を行うべきか、何を基準に判断すれば良いのか分からない、ということが考えられます。そこで、実際に従業員が問題を起こした場合、どのようにして懲戒処分を行えば良いのか、処分を行うまでの流れを簡単に確認していきましょう。
①事実関係を確かめるため、調査を行う
本当に懲戒事由に該当するような行為が行われていたのか、客観的に判断できるよう調査を行います。
②従業員に弁明の機会を与える
従業員の言い分を全く聞かず、会社側が一方的に処分を下せば、適正手続きの原則に反することとなりかねません。必ず従業員が弁明できる場を設けましょう。
③処分の内容を決定し、本人に知らせる
従業員の弁解の内容も踏まえた上で、懲戒処分を決定します。本人に懲戒処分通知書を交付して、その内容を知らせます。
●懲戒処分を行う際の注意点
不合理な懲戒処分を行うと、その懲戒処分は労働基準法や労働契約法等の法律に反するものとして、違法であり無効とされる可能性があります。また、処分を受けた従業員側が納得しておらず、処分に対して不服がある場合には、懲戒処分の違法や無効を主張してくる可能性があります。懲戒処分を行う際の流れは先ほど確認した通りですので、それぞれのステップを確実に踏むことで、処分が無効にならないように注意する必要があります。具体的に注意すべきポイントを、以下で紹介していきます。
①懲戒事由が定められており、従業員の問題行動がそれに該当するか
まずは、就業規則等に懲戒事由が明記されており、その就業規則が従業員に周知されていることが前提です。そして、従業員が行った具体的な問題行動が、その定められている懲戒事由に該当していることが必要です。明記された懲戒事由が、従業員に周知されていることではじめて、労働契約の内容となるからです。具体的には、業務命令違反や職場規律違反、無断欠勤等が挙げられます。
②行われる懲戒処分が相当であること
問題行動があったからといって、すぐに懲戒解雇とはならないのは、容易に想像がつくでしょう。つまり、従業員の問題行動が懲戒事由に当たる場合に、それに見合った処分を検討する必要があるということです。例えば、無断欠勤を1回した場合には、最も軽い戒告処分を行うといった、処分基準をあらかじめ設定しておくことで、判断の目安となります。しかし、目安はあくまで目安ですので、処分基準を設定していても機械的に処分するのではなく、様々な具体的事情を総合的に考慮して決めましょう。具体的事情とは、従業員が行った問題行動の性質や態様のほか、反省の態度や、前例の有無やその当時の処分の内容等です。
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弁護士黒川 慶彦
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- 経歴
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- 昭和55年
- 埼玉県所沢市生まれ
- 平成15年
- 中央大学法学部法律学科卒業
- 平成17年
- 司法試験合格
- 平成20年
- 法律事務所勤務
一般民事から企業法務、知的財産訴訟等幅広い分野の案件に携わる。
- 平成23年
- 都内医療機器輸入商社にて勤務
法務部門(国内外契約業務、労務紛争等)
物流部門、マーケティング部門の責任者を歴任。
- 平成30年
- 真英法律事務所設立
菊名支店代表
- 令和4年7月
- 新横浜の現事務所に移転し、『黒川慶彦法律事務所』に改称
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