無効になる遺言書とは
■遺言書とは
遺言書とは、自分が将来死亡した後に、生前に自分が有していた財産について、誰に何をどれくらい渡すのかということを、あらかじめ書いておくものです。もし遺言書を作成しなければ、自分の死後に相続が行われ、相続人同士が話し合いを行って遺産を分割することになります。しかし、遺言書を作成しておけば、基本的には、遺言書に残した意思表示の通りに遺産が分割されることになります。そのため、遺言状を作成することで、遺産分割方法をあらかじめ決めることができるとともに、将来的に相続手続きを行うことになる相続人たちの負担を減らすことにもつながります。
このように、遺言書による大きなメリットがありますが、これは有効な遺言書がある場合に限られます。つまり、せっかく遺言書を作成しても、何かしらの不備があると、効力が発生しないということもあるのです。
●遺言書の種類
遺言書は大きく3つの種類に分類されます。それぞれ①自筆証書遺言②公正証書遺言③秘密証書遺言と呼ばれ、作成方法などに違いがあります。
①自筆証書遺言は、遺言書を残す人(遺言者)が意思を文書化し、自分で作成します。もっとも単純かつ容易な作成方法です。
②公正証書遺言は、公証人に遺言書の作成を依頼します。公証役場に行き、証人の立会いの下で、公証人が遺言書を作成していきます。自筆証書遺言に比べて手続きが煩雑になりますが、法律に精通する公証人が作成するため、ほぼ確実に有効な遺言書を作成することができます。
③秘密証書遺言は、遺言書の内容を公開しないまま保管しておく方法です。遺言者自身が遺言書を作成する点では、自筆証書遺言と同じですが、完成した遺言書を証人と一緒に公証役場に持っていき、遺言書の存在を証明してもらうという点に違いがあります。遺言書の内容を知られたくない場合に、有用な方法です。
●遺言書が無効になる場合
遺言書は、作成したからといって必ずその効力が発生するものではありません。何かしらの不備等があると、無効になる場合があります。 まずは、遺言書が無効になる原因として、最も考えうるのが、遺言書の形式上のミスです。例えば、自筆証書遺言の場合、遺言者以外の人の代筆で書かれているケースや、署名や押印がないケースが挙げられます。また、公正証書遺言の場合、作成の際に証人2人と立ち会わせる必要がありますが、その証人が未成年者である等、証人になることができない人を証人として同行させてしまったケースが挙げられます。秘密証書遺言の場合も同じように、署名押印がないケースや、証人になることができない人が証人となっているケースは、その遺言書が無効になります。
遺言書が無効になるのは、形式上のミスに限られません。そもそも、遺言者に遺言能力がないために、遺言書が効力を持たないこともあります。遺言をすることができるのは、15歳以上の人であるため、15歳未満の人の遺言は無効となります。また、15歳以上であっても、認知症を発症している等、意思能力に欠ける場合には、遺言は効力を持ちません。
遺言書の効力が問題になるのは、有効な遺言書だと思っていたものが無効になってしまうケースばかりではありません。逆に、遺言書の効力の発生を防ぎたい、つまり、遺言書の無効を主張したい、というケースも存在します。例えば、遺言の内容によっては、納得のいかない相続人が出てくる可能性もあります。そのようなケースでは、遺言書の無効を主張することで、遺言書の通りにならないようにすることも考えられます。
相続人の間で遺言の効力を争う場合、当事者間で話し合いを行い、そこで結論が出ればよいのですが、解決に至らない場合には、遺言無効確認調停もしくは遺言無効確認訴訟を申立てることになります。まずは調停を先に行い、それでも解決に至らない場合に訴訟に移るのが通常です(調停前置主義)。しかし、調停は話し合いで解決を目指す方法であるため、争っている当事者同士が話し合いをしてもなかなか調停が成立することは難しく、実務的には、はじめから訴訟を起こす場合も多く見られます。
■相続に関するご相談は当事務所まで
黒川慶彦法律事務所では、相続に関するご相談を幅広く承っております。遺言書の効力に関しては、形式から判断するだけでなく、調停や訴訟の申立てをして争うことも可能です。お困りの際には、ぜひ弁護士 黒川慶彦までご連絡ください。
また、黒川慶彦法律事務所は、横浜市を中心に活動しており、相続問題だけでなく、労務問題、企業法務、その他各種法律問題まで、幅広い分野を取り扱っております。依頼者様のご期待に沿えるよう、尽力させていただきますので、まずは当事務所までお気軽にご連絡ください。
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弁護士 黒川慶彦
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- 経歴
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- 昭和55年
- 埼玉県所沢市生まれ
- 平成15年
- 中央大学法学部法律学科卒業
- 平成17年
- 司法試験合格
- 平成20年
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法律事務所勤務
一般民事から企業法務、知的財産訴訟等幅広い分野の案件に携わる。
- 平成23年
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都内医療機器輸入商社にて勤務
法務部門(国内外契約業務、労務紛争等)
物流部門、マーケティング部門の責任者を歴任。
- 平成30年
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真英法律事務所設立
菊名支店代表
- 令和4年7月
- 新横浜の現事務所に移転し、『黒川慶彦法律事務所』に改称
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- 所属
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神奈川県弁護士会
神奈川法人会
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